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吉田幸生WEB

関西を中心に主にシャンソンピアニストとして活動してきた音楽家吉田 幸生のいろいろ

永田文夫の訳詩講座

シャンソンクリニックの番外編としてお届けします。
日本訳詩家協会関西支部主催の「永田文夫の訳詩講座」
先日、一参加者として講義を聞いて来たお土産として発表します。
しかし、以下に掲げるのはあくまでも骨子であり、
実際の先生のお話は、様々な実話、エピソード、裏話に満ちており
汲めども尽きない宝庫。1時間半の講座の後の懇親会で2時間、
お開き後まで残ったコアなメンバー相手に2時間(吉田はここで退出)、
その後、ホテルまでお送り差し上げたスタッフ相手に4時間、
つきることなく、しかもワイン片手にお話は続いたそうです。驚異的な米寿。
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日本訳詩家協会会長:永田文夫の訳詩講座から(2015.06.09@新大阪ココプラザのレジュメより永田先生の公開許可を得て抜粋、編集:吉田幸生)
※吉田幸生にとって目から鱗、というか重要を思われる事柄のみ抜粋しました。特に吉田注と断っていない文章も、一字一句レジュメ通り、というわけではありません。

1)基本中の基本
★あらゆる著作物は発表された時点で作者に自動的に著作権が発生する
(吉田注:届け出の義務や証明不要)
使用者は使用料を払う義務があり、無断使用は原則的に作者の著作権侵害。
★しかし、作者が訴えなければ無罪。立証責任は訴える側にある。
(これを法律用語で、親告罪と言う。)

2)訳詩の使用料はどのように支払われるか
外国曲の場合、原作者が自国の音楽出版社(オリジナル・パブリッシャー、略してOP)と契約して使用料徴収業務を委託。
OPは、日本の音楽出版社(サブ・パブリッシャー、略してSP)と契約、SPは
JASRACに徴収業務を委託。ここで、業務の簡素化を図ってSPとJASRACの間で、1曲につき1訳詩しか認めないルールが設定された。これが法定訳詩とか適法訳詩と呼ばれている、彼らの定めたルールで、実際の法律とは無関係。
JASRACは、たとえ不適法訳詩が使われても、その使用料を適法訳詩者に支払う。日本訳詩家協会は、このルールの是正(吉田注;複数認めろ、とか、より良い訳詩に差し替えろ、とか)を求めて日本音楽出版社協会と何度も交渉したが、彼らは「これはビジネスである。我々は原作者の委託を受けてやっているだけで、訳詩の良し悪しや実際の使用頻度などはどうでもよい。無断訳詩は原作の著作権侵害だ」と言い張るばかりで、我々の話は聞き入れてもらえてない。

3)永田先生による諸注意
★訳詩の著作権は訳詩者に所属する。
★原作者に無断で訳詩するのは原作者の著作権侵害に当たり、
万一告訴されれば敗訴は免れぬが、親告罪のため、ほとんど訴えられた前例はない。
★たとえ原作者の了解を得ていても、SPの承認がなければ適法訳詩になれない。
★原詩の対訳や逐語訳にも著作権があり、一部でも訳詩に流用すれば対訳者の著作権侵害に当たる。
★レコード(CD等も含めて)に添付されている対訳のみを参考に訳詩するのは危険。対訳には間違いが多いので、原詩を読んで訳す事が望ましい。
★歌手が訳詩家に支払う訳詩料は著作権の買い取りではなく、言わば創唱権。
なので、発表した時点で創唱権は消滅する。訳詩家協会としては、訳詩者が歌手に作品を渡してから創唱するまでの期間は原則として1年とし、以降は創唱権が自然消滅する事にしたい。
★外国曲に付けられた日本語詩は、たとえ完全な創作であっても訳詩と見なす。なぜなら、原曲のメロディにつけている以上、完全な創作とは言えないからだ。
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なお、先生から「編曲の権利を何とかしろよ」と大きい宿題を頂いてしまいました。
もちろん、私一人がどうこうできるような代物ではありませんが、ちょっと真面目に考えてみる事にします。
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