
シャンソンクリニック 楽譜の種類 2015/04/08初稿
様々な形式の楽譜があり、それぞれに一長一短あります。
※実際の楽譜を例示しないと味気ないですが、著作権の関係もあり、
闇雲に載せられないのでご理解下さい。いずれ提示したいと考えています。
1)シーメロ(Cメロ)
全音のシャンソンコレクションや歌謡曲全集など、最もよく目にするタイプの楽譜です。
一段の五線に、主に歌のメロディとコード(和音)ネームがついています。
※何故シーメロと呼ぶのか、どこにも定義や記載が見つからないのですが、私自身は二十歳の頃(1980年)から使ってきました。もしかしたらバンド(ミュージシャン)業界専門用語かも。海外では通用しない?でも、便利な用語なので、提唱しておきます。
長所:コンパクトにまとまる。
長い曲でも、概ね2ページに収まります。シンプルなので応用が利く。ちょっと違うリズムでやってみて、など柔軟に対応できる。
短所:曲調がつかみにくい。
伴奏のリズム形やパターンなどは省略されるので、曲を知らない伴奏者には困る。リズムパターンが何度も変わったり、決め事の多い曲だとお手上げ状態になることも。
2)伴奏譜つき
水星社のシャンソンアルバムで見られる、歌のメロディの書かれた五線の下に伴奏の2段譜がついている、合計3段になった楽譜。
長所:曲調がつかみやすい。概ね弾くべき音が詳しく書かれている。
短所:長くなる。簡単な短い曲でも4ページ以上になることがざら。
そうなると、持ち運びの労力も増えるし(曲数が増えるとばかになりません)、伴奏者の楽譜立てからはみ出す。
アレンジが変えられない。詳しく書かれた音符が邪魔をする。また、詳しく音が書いてあるから不要だろう、と判断されてコードネームがついてない事があります。ポピュラー系のピアニストは音符に強くない事が多く、例え逐一音符が書いてあってもコードネーム必須です。
3)パート譜
ピアニスト一人ではなくバンド、楽団用に編曲され、各楽器専用に書かれた楽譜。
長所:各楽器奏者が何を弾けば良いのか、一目瞭然に示される。あまりリハを重ねたりできない場合に有効。
短所:他の楽器奏者が何を弾いているのかわからない。
本来はバンドや楽団で演奏する時にしか使えない、これを<ピアノ+歌>だけの時に使おうとする方がいますが、ボーカル譜の場合、前奏や間奏などが省略されている事があります(CDなどに付録でついている楽譜等も)。コードネームもついてないことも多い。ピアノ譜の場合、省略はされていなくても他の楽器が前奏のメロディを演奏する場合、当然ながらピアノ譜にはそのメロディは書かれないわけです。ではどうすれば良いか?
一つの回答は、スコア(総譜)を見る事です。全楽器の楽譜が一つにまとめて書いてあります。しかし概ね1ページに1段か2段しか入りませんから、長くなってしまいます。普通に8ページ以上になってしまう。見ながら演奏するのは事実上不可能に近い上、それを見ながらピアニストが弾くべき音を把握するのは難しい。
4)マスターリズム譜
そこで、ピアノ譜形式の2段譜に、必要な事柄を上手に盛り込んだものが作られてきました。バンドアレンジのピアノ譜に、歌のメロディや他楽器の主な演奏内容などが上手に盛り込まれている事もありますし、初めから全ての楽器奏者兼用、あるいはリーダー(バンマス)が見るスコア代わりとして作られている事もあります。この形式なら1)のシーメロに次いでコンパクトにまとまるし、曲調もつかみ易い。
※2)~4)の区別は一見ではわかりにくいです。注意が必要。
5)コード譜
1)のシーメロをもっとシンプルにしたカタチとして、歌のメロディも省略してしまう事があります。ジャズの現場で使われている楽譜は、これが多い。
長所:簡単に書ける。自由度が高い。
短所:どんな曲か、楽譜を見ただけではよくわからない。少なくとも歌のメロディはわかりません。しょっちゅう一緒にリハーサルを重ねている同士ならこれでいけても10年、20年ぶりの演奏だったり、初めての顔合わせなどではつらいかもしれません。
また、ギターの弾き語り用に、歌詞カードにコードだけ書いてあるものがありますが、これも1種のコード譜と言えるでしょう。これは、どのコードが何拍あるのかすらわかりませんから、曲を知らない人にはお手上げですね。
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