
リズムについて(理論編)
音楽は概ね一定のテンポで進んで行く場合が多い。その際、2拍ごと、3拍ごと、4拍ごとに区切りがついている場合が殆どである。それぞれ2拍子、3拍子、4拍子と呼ぶのであるが(もちろん同様に5拍子、6拍子、7拍子といくらでも可能)、これが楽譜(五線譜)の冒頭に記される(途中で拍子の変わる曲があるが、その場合は新たに記される)。1拍の単位が何分音符かを分母に、何拍子かを分子に示すことになっている。
単位が4分音符なら2/4、3/4、4/4、5/4、6/4、、。
8分音符なら2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、、、。(6/8以外はあまり見ない。)
はたまた2分音符なら2/2、3/2、4/2、、、。(2/2以外見た事がない)
16分音符でも同様。
なお、Cと書いてあるのは4/4の事である。何故かは不明。
Cの真ん中に縦線が引いてあるのは2/2の事である。何故かは不明。
なお、6/8と書かれているから6拍子なのかと思うと、3拍ずつまとめての2拍子ととらえるべきだったり、2/4と書かれているのに実際には8分音符を単位とした4拍子だったり(タンゴの楽譜等)。12/8も、12拍子というよりは細かい3拍×4の、4拍子ととらえる場合があったり(8分音符3つを線でつないで3と書いてある「3連符」を使った4/4と、つまりは同じだったりする)。
また、♩=50の3/8と100の3/4と200の3/2は要するに同じである。
混乱のタネが色々あるが、次に進む。
楽譜にリズム形を表す言葉(Tango、Bossa-novaなど)を添えると、理解しやすくなる。
しかし、それらの言葉は本来、音楽のジャンルを示す言葉であった場合が多く、時を経て今や、リズムそのものを指すのか、音楽のジャンルなのか、はたまたダンスの形式なのか、全てが混然一体となって、全く整理のつかない状態である。だからシャンソンの楽譜にタンゴと書いてみても、それはタンゴじゃない、的な言われ方が必ず出る。微妙なニュアンスが違うのである。しかしそうも言っておれず、便利なので使っていきたい。以下、リズム名として扱われている言葉と例を列挙してみる。(曲名には全て音源のリンクを付けましたので、是非クリックして聴いてみて下さい。)
タンゴ(Tango) 例「小雨降る径」(以下、例は省略) ハバネラ(Habanera)「旅芸人のバラード」
アルゼンチンで生まれたタンゴ音楽は決してチャッチャッチャッチャチャ、という一種類のリズムで構成されるわけではなく、特にハバネラとの融合がある。ハバネラはクラシックのビゼーがオペラ「カルメン」で使ったリズム。ミロンガ(Mionga)というのもある。8拍を3-3-2で区切るパターンが特徴的だが、それだけがミロンガというわけではないらしい。3-3-2はピアソラが多用している。「Vie Violence」
ビギン(Beguine)、ルンバ(Rumba)、ボレロ(Bolero)、マンボ(Mambo)、チャチャチャ(Cha-Cha-Cha)
ラテン音楽と総称されるリズムたち。それぞれに細かい違いがあるが、どうもごっちゃにされがち。
「初めての日のように」「バラ色の桜と白いリンゴの花」「ボレロ」「メケメケ」「幸せを売る男」
なお、ボレロには、元々は同じらしいがもう一つのパターンがある。クラシックのラヴェルが作曲した「ボレロ」に出てくるリズムパターン。「そして今」に使われています。
ボサノバ(Bossa-Nova)、サンバ(Samba)
本来はブラジル音楽。サンバとボサノバの混同も見られる。「あまい囁き」「Chante la vie chante 愛で殺したい(私の彼)」
マーチ(March)、パソドブレ(Paso doble) ブンチャッブンチャッのリズムである。パソドブレは、本来は違う意味ですが、同じとみて差し支えないでしょう。
「巴里野郎」「パリはシャンパン」「モンパリ」
ロック(Rock)、ポップス(Pops)
細かい4拍の3拍目にアクセントがあるのが2セットで1小節。8分音符で書かれる感じですね。よりきついのがロック、優しいのがポップスですか。
「夢の中に君がいる」「マイウエイ」
以下、はねる(ゆれる)系のリズム中心に。
シャッフル(Shuffle) 細かい3拍をひとくくりにして、その真ん中がカラのリズム。すなわちタッタタッタという感じ。「サセパリ」
ブルース(Blues)、スイング(Swing)、ジャズ(Jazz)、デキシー(Dexie)、フォックス(Fox-Trot)、カントリー(Country)
メロディの1音1音を均等に演奏するのではなく、長短を付ける。文章で書くのは困難だが「タタタタ」が「タンタタンタ」になる感じかな。遅いテンポになるほど間が空く感じで、早いテンポだとほぼ均等に近くなる。それに加えて半拍早く引っ掛けて入るフレーズを用いたりします。はねる度合い、ひっかける度合がそれぞれ違います。なお、「ジャズ」は含まれる意味合いが広すぎてリズム名としては意味不明ですが、それでも、和音の雰囲気も含めて「ジャズ風に」などと書かれたりします。
「夢を破らないで」「5月のパリが好き」「毛皮のマリー」「バラはあこがれ」
ジャバ(Java)、ミュゼット(Musette)
まともに説明してある文献が皆無だが、ジャバの方は2拍目を強調した3拍子、ミュゼットは1拍が細かい3拍になってる感じかな。アコーディオンと切っても切れない関係にあります。
「ジャバ」「アコルデオン」「アコーデオン弾き」(歌詩に「ジャバ」という言葉が出てきますが、ピアフの演奏そのものはむしろミュゼットでしょう。)
ワルツ(Waltz) 本来的にはもっと意味があったはずですが、単なる3拍子と同じ意味に使われてますね。すなわちブンチャッチャッ。
「詩人の魂」
スローロック(Slow Rock) 遅いロックという意味なのかと思うと、細かい3拍×4の4拍子。4個目と10個目にアクセントがあるのがロックの所以ですか。12beatと書かれたりします。チャチャチャ|<チャ>チャチャ|チャチャチャ|<チャ>チャチャ というやつです。
「愛の願い」「愛はきみのよう」
以下、リズム名とは言えないが、よく出てくる表記、指示として
2beat、4beat 言葉の意味としては2拍、4拍と言ってるだけなので、アメリカでこう言っても通じません。大抵はスイングするリズムの区別に使われているのですが、あいまいな部分も多いです。とりあえず1小節にベース音が何個あるか、の違いと思ってもらえれば。
8beat、16beat あたかもリズムの種類のように使われてますが、いずれも細かい4拍が1セットになって、8beatの方はそれが2個、16beatの方は4個ある感じかな。
アルペジオ(Arpegio)
ギターで言うと、4分音符をジャッジャッとかき鳴らすのではなく、8分音符をやわらかく爪弾く感じの演奏。「そんなにリズムを立てずにお願いします」と文学的に指示されるような場合、これで対応できるかも。といって、強力なアルペジオ、というのも成り立つわけですが。
バラード(Ballad)
本来的には、しっとりした、静かな演奏の事だが、シャンソンではテンポを自由にくずす、Tempo Rubato と同じ意味で使われる事が多いです。
音楽は概ね一定のテンポで進んで行く場合が多い。その際、2拍ごと、3拍ごと、4拍ごとに区切りがついている場合が殆どである。それぞれ2拍子、3拍子、4拍子と呼ぶのであるが(もちろん同様に5拍子、6拍子、7拍子といくらでも可能)、これが楽譜(五線譜)の冒頭に記される(途中で拍子の変わる曲があるが、その場合は新たに記される)。1拍の単位が何分音符かを分母に、何拍子かを分子に示すことになっている。
単位が4分音符なら2/4、3/4、4/4、5/4、6/4、、。
8分音符なら2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、、、。(6/8以外はあまり見ない。)
はたまた2分音符なら2/2、3/2、4/2、、、。(2/2以外見た事がない)
16分音符でも同様。
なお、Cと書いてあるのは4/4の事である。何故かは不明。
Cの真ん中に縦線が引いてあるのは2/2の事である。何故かは不明。
なお、6/8と書かれているから6拍子なのかと思うと、3拍ずつまとめての2拍子ととらえるべきだったり、2/4と書かれているのに実際には8分音符を単位とした4拍子だったり(タンゴの楽譜等)。12/8も、12拍子というよりは細かい3拍×4の、4拍子ととらえる場合があったり(8分音符3つを線でつないで3と書いてある「3連符」を使った4/4と、つまりは同じだったりする)。
また、♩=50の3/8と100の3/4と200の3/2は要するに同じである。
混乱のタネが色々あるが、次に進む。
楽譜にリズム形を表す言葉(Tango、Bossa-novaなど)を添えると、理解しやすくなる。
しかし、それらの言葉は本来、音楽のジャンルを示す言葉であった場合が多く、時を経て今や、リズムそのものを指すのか、音楽のジャンルなのか、はたまたダンスの形式なのか、全てが混然一体となって、全く整理のつかない状態である。だからシャンソンの楽譜にタンゴと書いてみても、それはタンゴじゃない、的な言われ方が必ず出る。微妙なニュアンスが違うのである。しかしそうも言っておれず、便利なので使っていきたい。以下、リズム名として扱われている言葉と例を列挙してみる。(曲名には全て音源のリンクを付けましたので、是非クリックして聴いてみて下さい。)
タンゴ(Tango) 例「小雨降る径」(以下、例は省略) ハバネラ(Habanera)「旅芸人のバラード」
アルゼンチンで生まれたタンゴ音楽は決してチャッチャッチャッチャチャ、という一種類のリズムで構成されるわけではなく、特にハバネラとの融合がある。ハバネラはクラシックのビゼーがオペラ「カルメン」で使ったリズム。ミロンガ(Mionga)というのもある。8拍を3-3-2で区切るパターンが特徴的だが、それだけがミロンガというわけではないらしい。3-3-2はピアソラが多用している。「Vie Violence」
ビギン(Beguine)、ルンバ(Rumba)、ボレロ(Bolero)、マンボ(Mambo)、チャチャチャ(Cha-Cha-Cha)
ラテン音楽と総称されるリズムたち。それぞれに細かい違いがあるが、どうもごっちゃにされがち。
「初めての日のように」「バラ色の桜と白いリンゴの花」「ボレロ」「メケメケ」「幸せを売る男」
なお、ボレロには、元々は同じらしいがもう一つのパターンがある。クラシックのラヴェルが作曲した「ボレロ」に出てくるリズムパターン。「そして今」に使われています。
ボサノバ(Bossa-Nova)、サンバ(Samba)
本来はブラジル音楽。サンバとボサノバの混同も見られる。「あまい囁き」「Chante la vie chante 愛で殺したい(私の彼)」
マーチ(March)、パソドブレ(Paso doble) ブンチャッブンチャッのリズムである。パソドブレは、本来は違う意味ですが、同じとみて差し支えないでしょう。
「巴里野郎」「パリはシャンパン」「モンパリ」
ロック(Rock)、ポップス(Pops)
細かい4拍の3拍目にアクセントがあるのが2セットで1小節。8分音符で書かれる感じですね。よりきついのがロック、優しいのがポップスですか。
「夢の中に君がいる」「マイウエイ」
以下、はねる(ゆれる)系のリズム中心に。
シャッフル(Shuffle) 細かい3拍をひとくくりにして、その真ん中がカラのリズム。すなわちタッタタッタという感じ。「サセパリ」
ブルース(Blues)、スイング(Swing)、ジャズ(Jazz)、デキシー(Dexie)、フォックス(Fox-Trot)、カントリー(Country)
メロディの1音1音を均等に演奏するのではなく、長短を付ける。文章で書くのは困難だが「タタタタ」が「タンタタンタ」になる感じかな。遅いテンポになるほど間が空く感じで、早いテンポだとほぼ均等に近くなる。それに加えて半拍早く引っ掛けて入るフレーズを用いたりします。はねる度合い、ひっかける度合がそれぞれ違います。なお、「ジャズ」は含まれる意味合いが広すぎてリズム名としては意味不明ですが、それでも、和音の雰囲気も含めて「ジャズ風に」などと書かれたりします。
「夢を破らないで」「5月のパリが好き」「毛皮のマリー」「バラはあこがれ」
ジャバ(Java)、ミュゼット(Musette)
まともに説明してある文献が皆無だが、ジャバの方は2拍目を強調した3拍子、ミュゼットは1拍が細かい3拍になってる感じかな。アコーディオンと切っても切れない関係にあります。
「ジャバ」「アコルデオン」「アコーデオン弾き」(歌詩に「ジャバ」という言葉が出てきますが、ピアフの演奏そのものはむしろミュゼットでしょう。)
ワルツ(Waltz) 本来的にはもっと意味があったはずですが、単なる3拍子と同じ意味に使われてますね。すなわちブンチャッチャッ。
「詩人の魂」
スローロック(Slow Rock) 遅いロックという意味なのかと思うと、細かい3拍×4の4拍子。4個目と10個目にアクセントがあるのがロックの所以ですか。12beatと書かれたりします。チャチャチャ|<チャ>チャチャ|チャチャチャ|<チャ>チャチャ というやつです。
「愛の願い」「愛はきみのよう」
以下、リズム名とは言えないが、よく出てくる表記、指示として
2beat、4beat 言葉の意味としては2拍、4拍と言ってるだけなので、アメリカでこう言っても通じません。大抵はスイングするリズムの区別に使われているのですが、あいまいな部分も多いです。とりあえず1小節にベース音が何個あるか、の違いと思ってもらえれば。
8beat、16beat あたかもリズムの種類のように使われてますが、いずれも細かい4拍が1セットになって、8beatの方はそれが2個、16beatの方は4個ある感じかな。
アルペジオ(Arpegio)
ギターで言うと、4分音符をジャッジャッとかき鳴らすのではなく、8分音符をやわらかく爪弾く感じの演奏。「そんなにリズムを立てずにお願いします」と文学的に指示されるような場合、これで対応できるかも。といって、強力なアルペジオ、というのも成り立つわけですが。
バラード(Ballad)
本来的には、しっとりした、静かな演奏の事だが、シャンソンではテンポを自由にくずす、Tempo Rubato と同じ意味で使われる事が多いです。
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