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吉田幸生WEB

関西を中心に主にシャンソンピアニストとして活動してきた音楽家吉田 幸生のいろいろ

見やすい楽譜とは その1


(これは「吉田 幸生のページ」に掲載してある「見やすい楽譜とは」の改訂版です)

伴奏する側からプロアマ問わず歌手の皆さんにお願いしたい事がいくつかあります。

1)まず、お名前を


 楽譜の曲名の近くに氏・名を書いて下さい。複数の人が出演する場合、紛れることもあります。同姓の方もいらっしゃいます。楽譜の下の方などに書かれていると、最初にパッと目がいきませんし、楽譜の裏にいくら大きく書かれていても、ピアニストは開いた面しか見ていません。自分はソロステージしかしません、という方は記名不要ですが。

2)キー(調)をはっきりと


 簡単な曲なら楽譜と違うキーでも大抵のピアニストは弾けますし、学習中でキーが決定してない事も多いでしょう。ですが今日、今から何のキーで弾けばよいのかをはっきりと記して下さい。楽譜のままでよい場合も「キーそのまま」と記して頂けると安心です。

 違う場合、必ずしも「A」とか「Cm」のように書かなくても、『この歌い出しの「ミ」を「ソ」に』のような指示でも構わないのです。「この曲」が何のキーであるか、の判断は、実は難しいです。

3)テンポ(速さ)


 歌うには、テンポを伝える必要があります。そして、テンポを伝えるには、ご自分でカウント(1,2,1234などと発声すること)するなり指揮するなりしない限り、例えば「♩=120」のようにメトロノームの数字を示して書くしか有りません。これが書かれていない楽譜は、実はどのぐらいのテンポで弾けば良いのかはわかりません。ピアニストが適当に判断しているだけですから、「早かった」「遅かった」ということは起こって当たり前。よく「普通でよいです」とおっしゃるのですが、普通の幅は結構あります。

 また「モデラートModerato」などの表示が書かれている楽譜もありますが、これは「中ぐらいの速さ」といった極めてあいまいな意味ですので、あまり役に立ちません(他にAllegro,Largoなど、あるいは英語で Slow,Fastなども同様)。

 自分がどのくらいのテンポで歌いたいかを知るためには「テンポをはかる」必要があります。テンポを計る機能のことをTAP(タップ)と言います。それの付いているメトロノームを使って下さい。

 テンポを表すのにBPMという記号というか略語を使う人がいますが、上記の「♩=」と同じ意味です。BPMとは(Beats Per Minute)つまり1分間に何拍あるか、という意味です。逆に言えば、メトロノームの数字は元々そういう意味なのです。


4)構成


 時々楽譜に書かれているくり返しの回数や間奏の有る無しと、実際の歌の寸法が違う人がいます。市販されている楽譜でも、必ずしもよく歌われている寸法で書かれているとは限りません。(例えばサントワマミー、バラ色の人生、枯葉など) ましてや、市販ではない楽譜の場合、元々持ってらっしゃった方の都合で大幅に変更がなされていたりします。今一度よく確認して下さい。分からなければ、歌詞カードに「ここで間奏」などと書いて楽譜に添えて下さっても良いのです。

5)コードネーム


 楽譜にコードネームがついているかどうか、今一度ご確認下さい。コードネームとは、五線紙の段の上に書かれている、アルファベットと数字を組み合わせた記号です(例えばG7、Dm7など)。これがついていないと大抵のピアニストは弾けません。なぜならば、楽譜に書いてある音符は歌のメロディだけである事が多く、伴奏者が出すべき音の情報はコードネームにしかないからです。極端に言うとコードネーム以外は音符さえ無くても構わない。市販の楽譜でもコードネームがついていないものがあり、注意が必要です。


6)
歌詞


 楽譜に歌詞を書いて下さい。伴奏者と事前に打ち合わせする時、歌手の側は「なんカッコの4小節目からもう一度」とか言われてもピンと来ないし、伴奏者は「♫二人は出会った♬のところ」とか言われても覚えていない、となりがち。歌詞が書いてあれば両者のコミュニケーションがとれます。また、本番中に歌詞を忘れても
助けてもらえますし、助けてもらえなくても、伴奏者が事態を把握するのに役立ちます。ただし、楽譜に後から書き加える場合は、音符やコードネームの邪魔をしないように、細心の注意が必要です。


6)
テープ


 楽譜が何枚にもわたる場合、まずセロテープでつないでいらっしゃいますが、セロテープって、折りぐせがつくんですね。譜面台に広げた時に斜めになって見づらいです。おすすめは100円ショップの衛生コーナーに売っている紙テープです。サージカルテープ「紙タイプ」とか、紙絆創膏(和紙タイプ)とか、店舗(会社)によって名称が違いますが、ほぼ同じ物です(ただしダイソーだけ巻きが長いので少し得)。とにかく「衛生」コーナーにある「紙」タイプです。それ以外は不向きです。100円ショップ以外には売ってません。
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 コーナンなどホームセンターの塗装(ペンキ)コーナーに売っているマスキングテープも良い感じですが、色がついているのが難点。

7)コピー


 繰り返しのスタート・終了その他、楽譜を読み進めるために大変重要な記号は、五線紙の端に記されていることがしばしばあります。一方、大判の楽譜集(例えばシャンソンコレクション)や五線紙の用紙は、コピー機で使用するA4(1ページ分。見開き2ページならA3)サイズの紙より少しだけ大きいものが多い。何も考えずにコピーを取ると、この重要な端の部分が切れてしまいがちです。「だいたい入ったからまあ良いか」ではだめ。上手に縮小する必要があります。

8)折らないで


 横折りにされると譜面台に乗せた時、おじぎしてしまいます。A4サイズの紙が入るバッグに入れて下さい。バインダーなどに挟んで持ち運びされるのが無難です。

9)

紙質


 やや厚い紙でできているに越したことはないのですが、普通紙で結構です。画用紙やらボール紙その他の台紙に貼りつけてくる方がいらっしゃいますが、かさばったり、反り返ったり、折り返せなかったり、色々と不具合です。
 僕自身は楽譜ソフトを使って印刷する時は、梅原洋紙店さんという京都のお店のネットショップで、A4サイズの、白老(しらおい)110kg というやや厚めの紙を注文して使っています。普通紙とハガキの中間の厚みの紙です。
50枚(300円)250枚(740円)2000枚(送料込みで4520円)単位で買えます。
流れ目という項目は触らずそのままT目にしておいて下さい。


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